VoIPゲートウェイとは?仕組みやメリット・費用目安を徹底解説

「VoIPゲートウェイってなんのこと?」
「VoIPゲートウェイの仕組みってどうなってる?」

VoIPゲートウェイはアナログ電話とIP電話を繋ぐ上で重要な役割を果たしますが、実際にどんなものなのか理解している人は少ないでしょう。そこでこの記事では、VoIPゲートウェイの概要や仕組み、メリット・デメリットについて解説します。

1. VoIPゲートウェイとは?

VoIPゲートウェイはアナログ電話網とIP電話網を中継・変換する装置で、アナログ回線もインターネット回線(IPネットワーク)のいずれも利用できるようにします。

VoIP(Voice over Internet Protocol)は、インターネット回線を使ってデジタルデータに変換した音声を送受信する技術のことです。ゲートウェイは「玄関」や「入口」を意味し、IT分野では通信手段の異なるネットワークを中継する機能、あるいはそのような働きがある機器のことを指します。

固定回線からの音声信号はVoIPゲートウェイを使ってデジタル信号に変換され、インターネット回線を通じて相手に伝わったデジタル信号は、再びVoIPゲートウェイにより音声信号になります。

ただし、2024年から固定電話はIP網に移行されたため、VoIPゲートウェイの必要性はなくなりました。以降、VoIPゲートウェイが必要とされていた2023年12月までの内容として解説します。

2. VoIPゲートウェイを利用した通話の仕組みを解説

VoIPゲートウェイを利用した通話では、次のような流れで通話が行われます。

  1. 電話機が発信者の音声を電気信号に変換する
  2. 電気信号がVoIPゲートウェイに送られてIPパケットに変換される
  3. インターネット網を通じてIPパケットが相手のVoIPゲートウェイに伝わる
  4. IPパケットが相手のVoIPゲートウェイによって電気信号に変換される
  5. 相手の電話機が電気信号を音声信号に変換する
  6. 電話機から音声が出てくる

発信者の音声を電気信号に変えるところまでは通常のアナログ電話の仕組みですが、VoIPゲートウェイによって電気信号をIPパケットという小さく分割されたデータのまとまりに変換することでアナログ電話網とIP電話網での通話を実現しています。

3. VoIPゲートウェイのメリット

VoIPゲートウェイを導入することで得られるメリットには以下のようなものがあります。

  • 既存のアナログ電話システムをIP化できる
  • アナログ回線とインターネット回線の双方を維持できる
  • 通話コストを削減できる
  • 運用・管理や業務が効率化される

(1)既存のアナログ電話システムをIP化できる

VoIPゲートウェイを導入することで、社内の既存のアナログ電話システムをIP化することが可能になります。既存の機器を完全にIP化するためには、IP-PBXやIP電話端末の購入といった高い初期費用がかかります。しかし、VoIPゲートウェイを導入すれば、既存のアナログ電話機器のままIP化することができるため、導入コストを抑えることができます。

(2)アナログ回線とインターネット回線の双方を維持できる

VoIPゲートウェイを使用することで、アナログ回線とインターネット回線の双方を同時に利用できます。そのため、従業員は慣れ親しんだ機器を引き続き使用でき、急なシステム変更による混乱を防ぐことができます。これによって、IP化した後も業務がスムーズに進行し、生産性の低下を防ぐことができます。

(3)通話コストを削減できる

VoIPゲートウェイを導入することで、通話コストを削減できます。従来の固定電話では相手との距離が遠いと通話料金が高くなるというデメリットがありました。しかし、VoIPゲートウェイを導入することで、IPネットワークでの通話が可能になり、距離による料金の変動がなくなります。また、従来の電話回線契約が不要となり、通信費のランニングコストも削減できます。

(4)運用・管理や業務が効率化される

VoIPゲートウェイを導入すると、オフィスにアナログ電話とIP電話の両方が存在していても別々に管理する必要がなくなり、運用・管理の効率化を測ることができます。

また、VoIPゲートウェイを利用することで、音声自動応答システム(IVR)や顧客管理システム(CRM)など、他のシステムとの連携が可能になります。これにより、業務の効率化が図ることができ、顧客対応の質も向上します。

4. VoIPゲートウェイのデメリット

VoIPゲートウェイには多くのメリットが存在しますが、以下のようなデメリットもあります。

  • 回線数が多くなると、機器代金が高くなる
  • インターネット回線の接続状況に影響される
  • 緊急通話への対応ができない

(1)回線数が多くなると、機器代金が高くなる

VoIPゲートウェイの導入にあたっては、回線数が多くなると機器代金が高くなるというデメリットがあります。各製品には収容可能な回線数が設定されており、対応回線数が増えるほど、その価格も上昇します。

収容可能な回線数とVoIPゲートウェイの価格の目安の関係を見てみましょう。

収容可能な回線数 VoIPゲートウェイの価格帯の目安
1~2 10,000円以下~
16~ 100,000円以上~
32~ 200,000円以上~

参照元:ビジネスフォンのVoIPゲートウェイとは?基礎知識から詳しく解説

このように、回線数が増えるにつれて機器代金が高くなるため、導入コストが大きな負担となる可能性があります。また、これに加えて業者に設置や配線を依頼する際の費用も考慮しなければなりません。

(2)インターネット回線の接続状況に影響される

VoIPゲートウェイの音声通信は、インターネット回線を通じて行われるため、ネット回線の接続状況に大きく影響されます。接続が不安定であれば音声品質が低下し、通信速度も遅くなる可能性があります。

そのため、VoIPゲートウェイを導入する際には、信頼性の高いインターネット通信を利用することが不可欠です。また、障害が少ないインターネットサービスを選ぶことはもちろん、万が一障害が発生した場合には迅速に対応してくれる業者を選ぶことが重要です。このように、インターネット回線の接続状況に依存することは、VoIPゲートウェイのデメリットの一つであり、導入前に十分な検討が必要です。

(3)緊急通話への対応ができない

VoIPゲートウェイを利用することでアナログ電話をIP化することができますが、050番号を使用するIP電話では110番や119番などへの緊急通話ができません。

110番や119番などの緊急通話番号では、通話者の位置情報を取得しながら近くの警察署や消防署に通報するようになっています。しかし、050番号では位置情報の取得ができないので、緊急通話をすることができません。そのため、万が一の事態に備えるためには、従来の電話回線を併用するなどの対策が求められます。

5. VoIPゲートウェイを導入する際の具体的なステップ

ここではVoIPゲートウェイを導入する際の具体的な以下のステップについて解説します。

  • 現状分析と要件定義
  • ネットワーク整備
  • 機器選定
  • 設置・設定
  • テスト・本番移行

(1)現状分析と要件定義

VoIPゲートウェイを導入する最初のステップは、自社の現状を分析し、必要な要件を定義することです。現在の通信環境や使用している電話システム、通話量、拠点数などを詳細に把握し、どのような機能が必要かを明確にします。この段階で、導入の目的(コスト削減、運用効率化など)を設定し、具体的な要件をリストアップすることで、後のステップでの機器選定やネットワーク整備がスムーズに進むでしょう。

(2)ネットワーク整備

次に、VoIPゲートウェイを効果的に運用するために、ネットワーク環境の整備が必要です。既存のネットワークがVoIP通信に対応できるかを確認し、必要に応じてルーターのアップグレード、帯域幅の増加を検討することで、通話品質の向上を図ります。

(3)機器選定

ネットワークが整ったら、次はVoIPゲートウェイの機器選定です。自社の要件に基づいて、必要な回線数や機能を持つVoIPゲートウェイを選定します。市場にはさまざまな製品があり、価格や性能、サポート体制などを比較検討することが重要です。必要に応じて、専門業者に相談し、最適な機器を選ぶことをおすすめします。

(4)設置・設定

機器が選定できたら、次は設置と設定です。VoIPゲートウェイの設置は専門業者に依頼することが一般的ですが、社内で行う場合は、取扱説明書を参考にしながら慎重に進めます。設置後は、ネットワーク設定や通話設定を行い、各端末との接続を確認します。

(5)テスト・本番移行

最後に導入したシステムの動作テストを行います。通話品質、接続性、各種機能の動作確認などを徹底的に行い、必要に応じて設定を調整します。

十分なテストと調整を経た後、本番環境への移行を行います。移行後は、システムの安定性や通話品質を継続的に監視し、必要に応じて調整や改善を行います。

音声通信技術に関するご相談ならソフトフロントジャパンへ

この記事では、VoIPゲートウェイの概要からメリット・デメリットや費用、導入までのステップを解説しました。VoIPゲートウェイは、アナログ電話とIP電話を接続し、既存の電話システムをそのままIP化するための重要な装置です。この技術を導入することで、企業は通話コストの削減や運用管理の効率化を図ることができます。しかし、2024年から固定電話はIP網に移行されたため、VoIPゲートウェイの必要性はなくなりました。

ソフトフロントジャパンではVoIPゲートウェイだけでなく、音声通信技術全般に関わるソリューションを提供しています。音声通信技術に関してお悩みの方は、ぜひソフトフロントジャパンにご相談ください。お客様のニーズに沿った提案を提供しますので、お気軽にお問い合わせください。

資料請求・お問い合わせ

ご要件やご契約内容によって、提供パッケージ内容やAPIのレイヤが異なります。
お気軽にお問合せください。