「UCaaSで何ができる?」
「UCaaSを導入するメリットはあるの?」
リモートワークを行う企業が増えた現在では、UCaaSを活用したコミュニケーションの効率化に注目が集まっています。UCaaSを利用すれば、チーム内コミュニケーションを最適化し生産性を向上することが可能です。さらに、UCaaSの利用で顧客とのコミュニケーションが従来の方法では出来なかったことが可能になります。
この記事では、UCaaSの定義や導入するメリット・デメリットから実際の活用事例やUCaaSの選び方について解説します。
1. UCaaSとは統合コミュニケーションツールサービス

UCaaS(Unified Communications as a Service)は「ユーキャス」と読み、メールやテキストチャット、音声、ビデオ会議などを統合する管理するユニファイドコミュニケーション(Unified Communication)という技術をベースにして、1つのプラットフォームとして提供するサービスです。
これまでは、電話回線を取り扱うA社、ビデオ会議を提供するB社、チャットツールを提供するC社とそれぞれ別々に契約する必要がありました。しかし、UCaaSでは複数のコミュニケーションツールをひとつのプラットフォームで管理できるため、様々なメリットを享受することができます。
例えば、Teamsでは、異なるコミュニケーションツールを統合し、場所と時間を選ぶことなく様々なデバイスからシームレスに機能を利用できるため、最適なワークスタイルを実現することができます。
さらに、コミュニケーションは自社内でのコミュニケーションだけでなく、顧客からの問い合わせのコミュニケーションを同一のサービスで電話からビデオ会議、顧客管理を行うことも含まれます。ヘルプデスク機能もUCaaSの1つの使用方法です。
代表的なUCaaSサービス
- マイクロソフト Teams
- Zoomビデオコミュニケーションズ Zoom
- シスコシステムズ Webex
CPaasとの違い
UCaaSとの類似概念として、CPaaS(Communications Platform as a Service)がありますが、主な違いとして拡張性の高さが挙げられます。UCaaSは様々なツールを1つのプラットフォームで提供しているのに対し、CPaaSではAPIを利用して複数のツールを統合します。そのため、必要な機能だけを柔軟に組み込むことが可能です。
しかし、提供者の異なるサービスを統合するCPaaSは、それぞれのUIや操作方法を1から学ぶ必要があるため、学習コストが高くなったり、システムが複雑化したりするデメリットも存在します。
2. UCaaSを導入するメリット

UCaaSを導入することで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 様々な機能を1つのプラットフォームで利用できるため負担が軽減される
- 業務の効率化とコミュニケーションの活性化
- 導入時のシステム構築が不要
順に詳しく解説します。
(1)様々な機能を1つのプラットフォームで利用できるため負担が軽減される
多くの企業では、チーム、部署、目的などに応じて異なるツールを利用し、各ツールを行ったり来たりしています。UCaaSを導入することで、従業員が1つのプラットフォーム内で複数の機能を利用でき、各ツール間の移動は不要になります。
例えば、Teamsでは1つのプラットフォーム上で、チームメンバーとの会話を行いながら、プロジェクトの進捗状況を確認し、スケジュールを調整することができます。
(2)業務の効率化とコミュニケーションの活性化
UCaaSはモバイル対応やクラウドベースで提供されているため、異なる場所にいるメンバー同士でも、ビデオ会議やホワイトボードを通じてリアルタイムで高度なコミュニケーションを取ることができます。
例えば、Zoomでは、リモートワーク中の従業員同士がビデオ会議ツールを使って会議を行いつつ、ホワイトボードを使って図やチャートを作成したり、メモを書き込んだりすることができます。これにより、ビデオ会議ツールのみを使うよりも意見や情報をわかりやすく伝えることができ、チーム全体がより効果的に作業を進めることができます。
(3)導入時のシステム構築が不要
UCaaSはクラウド上で稼働するサービスなので、自社でサーバーやシステムを構築したり、メンテナンスしたりする作業は必要ありません。クラウド上で必要な分だけ利用すれば良く、初期コストは不要になり、リソース管理を柔軟にできるようになります。
例えば、Teamsは導入するだけで、ビデオ会議ツール、チャットツール、メール機能などがすぐに使えるようになり、サーバーのメンテナンスやアップグレードの必要がなくなります。
3. UCaaSを導入するデメリット

UCaaSを導入するメリットを紹介しましたが、デメリットも理解しておきましょう。ここでは、以下3つのデメリットを紹介します。
- インターネットに繋がらないと利用できない
- 障害やハッキングなどが起きると、影響範囲が大きい
- カスタマイズしにくい
順に解説します。
(1)インターネットに繋がらないと利用できない
UCaaSはクラウドサービスであり、インターネットに繋がらないと利用できないというデメリットがあります。
インターネットに繋がっていないとチャットの送信やファイルの共有も全て同じサービスなので使用が出来ず、緊急の際にチームメンバーの電話番号が分からなければコミュニケーションが取れないなどの問題が発生します。
(2)障害やハッキングなどが起きると、影響範囲が大きい
UCaaSでは、1つのプラットフォームに全てのコミュニケーションツールがまとまっているので、サービスでシステム障害が起きた際に業務への影響が大きくなります。また、不正アクセスされたときの被害が大きくなりやすいです。1つ1つのツールを個別に使っているのであれば、サーバーダウンしたりハッキングされたりしてもそのツールだけで済みますが、UCaaSの場合、備わっている機能すべてが同時に影響を受ける懸念が生じることになります。
具体的な対策として、サービス提供者の可用性対策(稼働率や障害耐性など)やセキュリティ対策を確認し信頼できる提供者を選択することが挙げられます。また、セキュリティ対策であれば、強力なパスワードや多要素認証を導入した不正アクセスの防止など、有事に備えて自社でできる対策を導入前に検討することも大切です。
(3)カスタマイズしにくい
UCaaSを導入する際のデメリットに、カスタマイズしにくいことが挙げられます。
自社開発のシステムであれば、運用する中で新しく機能を追加したくなった場合やより使いやすくなるようにUIを変更したい場合など、ニーズに合わせたカスタマイズをすることができます。
UCaaSはクラウドサービスであり、サービス提供者が決めたシステム環境や機能の範囲内での利用となるため、自由にシステムをカスタマイズすることは難しいです。そのため、導入する際には自社にとって必要な機能を提供しているかどうかを確認することが必須になります。
4. UCaaSの具体的な活用事例・導入事例

UCaaSの定義やメリット・デメリットについて解説しましたが、実際にUCaaSはどのように活用されているのでしょうか。ここでは、UCaaSの以下の具体的な活用事例や導入事例について紹介します。
a)一般企業の事例
- リモートワークの効率化
- 社内研修やセミナー
- オンライン教育を効率化
b)業界特化型の事例
- コールセンターの構築
- 医療機関の運営効率を向上
順に詳しく紹介します。
(1)リモートワークの効率化
リモートワーク中は、ビデオ会議やチャットツールを使用してチームとコミュニケーションを取ることが不可欠です。UCaaSはモバイル対応やクラウドベースで提供されているため、デバイスや場所を問わずに効率的なコラボレーションを実現できます。
またUCaaSは、クラウド上で動作する電話システムも提供しているため、リモートワーカーはオフィスと同じように電話をかけたり受けたりすることができます。さらに、複数のデバイスから同じ番号にアクセスできるため、柔軟性も高まります。
参考:AVAYA「What Is Unified Communications as a Service (UCaaS)とは?」
(2)社内研修やセミナー
UCaaSの中には、参加者をグループ分けする機能が搭載されているサービスもあるため、規模に関係なくグループ毎に社内研修やセミナーを開催することができます。
例えば、ビデオ通話機能にホワイトボード機能が加わることによって、社内研修やセミナーで使う資料をホワイトボードを通して配信・共有でき、オフラインの研修やセミナーのような感覚で情報提供をできるようになります。
UCaaSであれば、チャットで質問を受けたり、リアクションをしたり、社内研修やセミナーでのコミュニケーションが一方通行になることがありません。
参考:Rakuten Mobile「UCaaSとは?導入のメリットやCPaaSとの違い、主な利用ケースを解説!」
(3)コンタクトセンターの構築
少し変わった使われ方としては、CTIツールの代わりに様々なコミュニケーションチャネルを持つUCaaSを利用し、複数のチャネルで顧客接点が持てるコンタクトセンターの構築も検討されるケースがあります。
参考:AVAYA
(4)オンライン教育を効率化
UCaaSを活用することで、オンライン教育も効率化することができます。例えば、リアルタイムのオンライン授業、画面共有、ファイル共有など、場所を問わずにコミュニケーションを取ることができます。生徒は自宅や外出先からでも授業に参加することができ、時間や場所の制約を受けずに学習することが可能になります。
また、出席を追跡する機能では、授業当日にログインした生徒の把握ができます。さらに、教員同士では意見交換をしたり、授業内容を共有しあったりすることができます。教員と保護者のコミュニケーションでは、オンラインで連絡を取り合い、生徒の学習状況も共有することが可能です。
参考:NORTEC「UCaaS Use Case:How Companies are Benefitting and Leveraging UCaaS In Their Industry」
(5)医療機関の運営効率を向上
UCaaSを医療機関で活用することによって、医師が患者に対して遠隔で診療しながら、医師と看護師がリアルタイムで情報共有を行うことができるため、患者の状態の把握や治療の計画についての意思決定がスムーズになります。
また、スケジュール調整や会議の設定、ファイル共有などを効率化することで、病院全体の運営効率を向上させ、より多くの時間を患者のケアに注力できる環境も整えられます。
参考:NORTEC「UCaaS Use Case:How Companies are Benefitting and Leveraging UCaaS In Their Industry」
5. UCaaSの選び方

実際にUCaaSを導入する際には、自社に合ったサービスを導入することが重要です。ここでは、UCaaSの以下の選び方について解説します。
- 使いたい機能があるか
- セキュリティが高いか
- 稼働率をチェック
- 操作性が良い
- 使いたい機能があるか
- セキュリティが高いか
- 稼働率をチェック
- 操作性が良い
詳しく解説します。
(1)使いたい機能があるか
UCaaSの代表的な機能には、以下のようなものがあります。
- 通話
- 電話・web・ビデオ会議
- プレゼンス情報(在籍)管理
- チャット
- メール
- スケジュール管理
- ファイル共有
- ボイスメッセージング
そのほか、サービスによっては、PBXやIVR、同時通訳機能などの機能が搭載されているものもあります。
重要なのは、自社が必要とする機能がUCaaSに含まれているかどうかです。機能が豊富でも、自社に不要な機能があれば選ぶ意味がありません。不要な機能が含まれている場合、システムの複雑さや使い勝手の悪化も懸念されます。そのため、自社のニーズを考慮しながら、必要な機能が含まれているUCaaSを選ぶようにしましょう。
(2)セキュリティが高いか
デメリットでも解説した通り、UCaaSにはセキュリティ上の課題があるので、セキュリティの高いサービスを選ばなければいけません。
特に、複数のツールを統合しているUCaaSで情報漏洩が起きると大きな被害が出る可能性があります。そのため、利用する予定のUCaaSのセキュリティ対策がどうなっているか確認をしてみましょう。サービス提供者のバックグラウンドや実績といった信頼性を裏付ける情報なども見てください。
(3)稼働率をチェック
UCaaSを選ぶ際には、サービスやシステムが正常に稼働している期間の割合を指す稼働率を確認することも重要なポイントです。システムが頻繁にダウンしてしまうと、ビジネスの効率性や顧客サービスに大きな影響を与える可能性があります。
経済産業省が策定したクラウドサービス利用のガイドラインによれば、サービス稼働率として99.9%を定めています。提供されるUCaaSサービスの稼働率を十分に調査し、信頼性の高いサービス提供者を選択することが重要です。定期的なメンテナンスや障害対応の体制も確認しましょう。
(4)操作性が良いか
シンプルで直感的なインターフェースや使いやすい機能があるサービスを選ぶことで、従業員のトレーニングコストを削減し、効率的な業務遂行を支援します。
ユーザーがストレスなくシステムを活用できることは、生産性向上や顧客満足度の向上にもつながります。操作性を重視して、利用者にとって使いやすいUCaaSサービスを選択しましょう。
(5)アップデート頻度は適切か
システムアップデートは、不具合が回収されたり新しい機能が使えるようになったりするために必要なため、不定期に行われるのが一般的です。ただ、デメリットで解説したように、UCaaSはシステムダウンなどの障害が起きた場合、機能が多い分、通常業務に支障が出る範囲も大きくなりがちです。したがって、安定して業務稼働が求められる業種や従業員のITリテラシに課題を抱える組織では、バージョンアップで生じる業務停止リスクや、画面・操作が大幅に変更されることを懸念し、なるべく更新頻度を低くしたいと考えるケースがあります。一方で、使いやすさや技術などはいち早く改善してほしいという場合、更新頻度は高い方が自社に合っていることになります。選定の際は、自社の業務や従業員の特性を理解した上で、念のためアップデート頻度も事前に確認しておくとよいでしょう。
UCaaSの導入・チーム内コミュニケーションの最適化について
この記事では、UCaaSの定義やメリット・デメリット、具体的な活用事例などを解説しました。
UCaaSを導入すると、これまで別々に管理されていたコミュニケーションツールが一本化され、効率のよい運用ができるようになります。リモート会議、社内研修、オンライン授業、医療機関などにおいてもUCaasの利便性が大いに生かされることになります。
ソフトフロントジャパンでは、リモート会議アプリやUCaaSに含まれる音声・映像通信機能(Teamsなど)を電話へ繋ぎこむなど、既存の電話環境に合わせた開発・設計・提案を受けております。UCaaSの利点を生かしながら、内線、外線、IP電話など現状の電話環境やツールを変えることなく、お客様が使い慣れたコミュニケーション方法を実現するためのお手伝いが可能です。
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