【図解でわかりやすく】PBXとは?仕組みやビジネスフォンとの違い

「PBXって何?」
「PBXの機能は何があるの?」

なんとなくPBXとは電話に関連する用語であることは知っているものの、詳しく理解されている方は少ないのではないでしょうか。インターネットが普及し、チャットが積極的に使われる現在でも、音声通話はビジネスで必要不可欠です。

そこでこの記事では、オフィスやコールセンターでは必須となっているPBXの基礎知識から、機能や種類について詳しく解説します。導入を検討されている方、PBXについて知りたい方は、ぜひ最後まで読んでください。

1. PBXとは

PBX(Private Branch Exchange)とは、企業や組織内の電話システムを管理する装置のことです。主に外線(公衆電話網)との接続や、内線(社内電話)の管理、制御を行う機能を提供します。

通常であれば、1つの電話番号に1つの電話機が対応しますが、PBXを導入することで、同じ電話番号を複数の電話機で共有できます。これにより、相談窓口の電話番号を1つに統合でき、顧客から電話があった際にも、1つの電話が通話中だからという理由で通話できないという事態も防ぐことができます。

さらに、通話料を発生させることなく内線同士で会話することもできるようになり、コストを抑えることも可能です。

2. PBXの仕組み

PBXの基本的な仕組みは、外線からの着信を一度PBXで受け取り、適切な内線に転送するというものです。家庭用の電話機では、1つの電話機に1つの電話回線が接続されていますが、企業のような多数の電話機が必要な環境では、個々の電話機に電話回線を接続するのは非効率です。

例えば、各電話機に回線を接続すると、配線や修理、通信料金管理が煩雑になり、企業の管理コストが増える可能性があります。一方、PBXを導入すると、すべての電話機が1つのメイン回線に接続されます。PBXは着信を受け取り、適切な内線に転送する役割を果たすことで、通信管理を効率化します。これにより、企業は回線数を最小限に抑えながら通信コストを削減することが可能です。

3. PBXの主な機能

ここでは、PBXの主な機能を以下の観点から解説します。

外線での機能
内線での機能

それでは順に解説します。

(1)外線での機能

PBXは、契約している電話番号を「親番号」、回線がつながっている転送先の電話番号を「子番号」とすることで、外線からの発着信の制御が可能です。

着信制御

着信制御は、契約している親番号である電話番号に電話がかかると、回線をつなぎ、あらかじめ紐づけられていた特定の子番号に着信を転送することで、社内の複数の電話機での着信が可能となります。

発信制御

発信制御機能は、内線番号からの発信を指定した外線番号で行う機能です。そのため、どの電話機から発信しても、契約している親番号が外線先では表示されることになります。

(2)内線での機能

次に内線での機能について解説します。内線同士の通話では、同じ電話回線が使われるため通話料金がかかりません。

転送機能

PBXの内線に関する機能の中で主な機能が転送機能です。転送機能の中でも、細かく以下の機能に分かれています。

機能 概要
不在転送 不在時など、電話に出られないときに、あらかじめ指定しておいた電話機に転送する機能。
話中転送 通話中のタイミングで、設定された電話機に転送する機能。
着信選択転送 設定された条件に合う着信だけをあらかじめ設定した電話機に転送する機能。
応答遅延転送 あらかじめ設定したコール数内で応答が無い場合に、別の電話機に転送する機能。
圏外転送 内線設定した電話機が圏外にある場合に、圏内にある電話機に転送する機能。
保留転送 一度、ある電話機で通話した後、保留ボタンを押して別の電話機に転送する機能。

パーク保留機能

パーク保留機能は、電話を保留にした状態で他の電話機から保留中の電話を再開できる機能です。例えば、電話をとった人が分からないような内容の電話であった場合、保留にして部内で回答できる人がいれば、その人が自席の電話で保留解除し、通話を引き取るという使い方ができます。

4. PBXとビジネスフォンの違い

仕事場に電話を導入しようとする際に、PBXと並んで候補にあがるのがビジネスフォンです。ビジネスフォンとは、電話交換ができるシステムであるという点ではPBXと同じですが、以下の項目のような違いがあります。

PBXとは ビジネスフォン
接続台数 数千台以上可能 数十台〜100台
機能 高度な内線化や着信データ分析などの追加機能を持つ 基本的な電話機能に留まる
接続可能端末 電話、FAX、パソコン、タブレット、スマートフォン 電話、FAX
コスト 自社でPBXを保有するオンプレミス型であれば、初期費用は高額 自社でPBXを保有しないクラウド型とすることで、初期費用は抑えられるが、利用規模によってランニングコストが異なり、高額となる場合もある 初期費用は安価

それでは、順に説明します。

(1)接続台数

PBXとビジネスフォンでは、制御・管理できる電話機の数が異なります。

違い
PBX 数千台以上可能
ビジネスフォン 数十台〜100台

ビジネスフォンは、アナログ回線を利用して電話機を接続するため、接続できる電話機の台数にも制限があります。一方でPBXはデジタル接続が主流で、数千台もの電話機の接続が可能です。

小規模な企業であればビジネスフォンで十分ですが、大きなオフィスやコールセンターなどでは、PBXを選択すべきでしょう。

(2)機能

電話における基本的な機能は同じですが、PBXの方がより高度な機能を持っております。

違い
PBX 高度な内線化や着信データ分析などの追加機能を持つ
ビジネスフォン 基本的な電話機能に留まる

(3)接続できる端末の種類

接続できる端末も、PBXの方がビジネスフォンよりも多くなっております。

違い
PBX 電話、FAX、パソコン、タブレット、スマートフォン
ビジネスフォン 電話、FAX

ビジネスフォンは、各電話線と電話回線で直接接続しているため、レガシーPBXと同様にビジネスフォンと同じように電話機やFAXのみ利用可能です。一方で、インターネット回線があれば接続できるIP-PBXやクラウドであれば、アプリケーションをインストールしたPCやスマートフォンとの接続も可能です。

(4)コスト

初期費用およびランニングコストも異なります。

違い
PBX 自社でPBXを保有するオンプレミス型であれば、初期費用は高額
自社でPBXを保有しないクラウド型とすることで、初期費用は抑えられるが、利用規模によってランニングコストが異なり、高額となる場合もある
ビジネスフォン 初期費用は安価

5. PBXの種類

PBXは以下の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴について解説し、メリット・デメリットを説明します。

  • レガシーPBX
  • クラウドPBX
  • IP-PBX

それでは、順に解説します。

(1)レガシーPBX

レガシーPBXとは電話回線を利用して電話機とPBXを接続する従来使用されているタイプのPBXです。オフィスに物理的なPBX本体を設置して使用するため、オンプレミス(自社運用)型とも呼ばれます。通常、企業のサーバー室などにラックに収納される形で設置されていることが多いです。

メリット

インターネット回線を利用せず内線と外線を利用できるため、サーバダウンや停電の影響を受けにくい点がレガシーPBXのメリットです。また、インターネット接続が無く、専用回線を用いるため、セキュリティ面で安全性が高いと言えます。

デメリット

物理的な機器が必要になることから、事業所内に設置場所が必要になります。また、電話線を使用するため、新築での導入時やオフィスの改装工事を行う際には、専門の資格をもつ業者に工事依頼しなければならず、工事費用は高額となるでしょう。

電話回線が届く範囲でしか接続できないため、複数の拠点を持っている場合は、各所でPBXを設置する必要もあります。

(2)IP-PBX

IP-PBXは、電話回線ではなく、インターネット回線を利用したPBXのことです。発着信をIP電話に変換して振り分け制御を行ないます。インターネット回線を利用するため、社内LANの整備が必要にはなりますが、すでに敷設されている場合は、新たに電話回線を配線する必要がなく、電話回線ではできなかった、ビデオ通話や通話内容の電子記録などの機能も利用可能となりました。

メリット

インターネット回線を利用するため、遠隔地の複数拠点も内線化することができ、通話料金が発生しないため、ランニングコストを抑制することができます。レガシーPBXでは電話機やFAXしか使用できませんでしたが、IP-PBXでは、PCやタブレットを電話代わりに利用できます。

また、海外拠点でもインターネット回線を使用することにより、内線化ができます。

デメリット

LANでの接続が必要になるため、社内に電話回線しかない場合は、初期費用がかかったり、インターネット回線を利用するため、IDやパスワードをきちんと管理しなければ、ハッキングのリスクも高くなります。

(3)クラウドPBX

クラウドPBXは、交換機の機能を持つシステムがクラウド上に設けられているPBXのことで、インターネット回線を利用して通話を制御します。物理的な装置の設置が不要である点でレガシーPBXやIP‐PBXと異なり、電話交換システムを自社で管理する必要がないという特徴を持ちます。

メリット

インターネット回線を利用するため、遠隔地の内線化や通話料金の抑制はIP-PBXと同様のメリットを持ちます。例えば、自宅のPCもインターネットに接続されていれば内線化できるため、リモートワークへの適応も柔軟に実施できます。物理的な装置が不要なことから、インターネット回線がある場合は、導入期間が非常に短く、導入コストも安価です。新たに拠点を追加する場合や機能を拡張する場合も、柔軟に対応することができます。

さらに、自社でPBXシステムを管理する必要がないため、導入のハードルは非常に低いと言えるでしょう。

デメリット

インターネット回線を利用することから、通信状態もインターネット環境に左右されます。例えば、災害時などは電話が通じにくくなるなど、通話品質が低下する可能性があります。

PBXを自社管理する必要がないため管理費はかかりませんが、インターネットの通信料のほかにユーザー数によって毎月の利用料が発生します。クラウドPBXにはクラウド勤怠管理などのオプション機能もあり、業務効率化が実現できますが、これらも月額料金が発生します。

6. PBXの選定ポイント

PBXの選定には、以下のポイントがあげられます。

  • 初期費用・ランニングコスト
  • 導入時の難易度
  • セキュリティ

それでは、順に説明します。

(1)初期費用・ランニングコスト

まず、重要になるポイントはコストです。新たにスモールビジネスを始める場合など、初期費用を抑えたい場合は物理的なPBX装置の導入が不要なクラウドPBXが有利です。

しかし、ランニングコストの面では注意が必要です。クラウドPBXは月額や年額課金制です。一方で、IP-PBXであれば、社内で管理し、場合によっては更新を行なうコストが発生しますが、利用人数や利用する機能が多い場合は、長期的にはIP-PBXを利用したほうが費用を抑えられる場合もあります。利用予定の人数・機能や今後の拡大計画を考慮すると良いでしょう。

(2)導入時の難易度

PBXの導入には、配線や設定などの工事が必要です。なるべく早急に利用を開始したい場合などは、導入時の工事ができる限り少ない方が良いでしょう。オフィス内にすでに電話回線が敷設されている場合はレガシーPBX、LANが敷設されている場合はIP-PBXが導入の難易度が低くなります。

一方で、社内の回線設備がない場合は、クラウドPBXが最も適しています。
現状の社内設備や、導入時のスピード感を考慮して、検討する必要があります。

(3)セキュリティ

PBXのセキュリティは非常に重要です。インターネットに接続されていると、常に外部からのハッキングなどの脅威にさらされるリスクがあります。クラウド上にPBXシステムを持つクラウドPBXは最もリスクが高く、セキュリティ管理には注意が必要です。PBXの運用を委託するベンダーがどのようなセキュリティ管理を行なっているのか、確認しておくことが重要です。

IP-PBXもインターネットと接続はされておりますが、オフィス内でPBXを管理できることから、社内での運用次第で高いセキュリティを確保できます。セキュリティ面に不安がある場合は、インターネットに接続されていないレガシーPBXが安心でしょう。ただし、内部の悪意ある従業員や管理者が、権限を悪用してシステムに不正アクセスするリスクもあるため、適切なアクセス管理やセキュリティポリシーの策定と実施などが必要になります。

PBXの導入をソフトフロントジャパンがサポートします

この記事ではPBXの仕組みや、ビジネスフォンとの違い、種類や選び方などを解説しました。PBXを利用することで、外線・内線の効率的な運用が実現できますが、導入や管理における注意点も知っておく必要があります。発生するランニングコストや今後の拡張性を理解することで、適切なPBXを選定し利点を最大限に活用することで、効果的な電話システムを構築することができます。

ソフトフロントジャパンでは、PBX(構内交換機)に関する多様なソリューションを提供しており、企業の規模や業種、特有の要件に基づいて、最も適したPBXの種類や機能を選定し、導入プロセスをサポートします。PBXの導入についてはソフトフロントジャパンにご相談ください。

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