サービスが終了したISDN回線とは?終了による影響についても解説

「ISDN回線のサービスはなぜ終了するの?」
「ISDN回線の代替サービスは?」

2024年1月、長らく企業や家庭の通信基盤として利用されてきたISDN回線が終了しました。しかし、ISDN回線が終了する理由や終了によって企業に与える影響を把握している人は少なくないでしょう。

そこでこの記事では、ISDN回線の概要やサービスが終了する理由やサービス終了が企業に与える影響、代替サービスについて解説します。

1. ISDN回線・INSとは

ISDNとは

ISDN(Integrated Services Digital Network)とは、デジタル方式で音声やデータを伝送するための通信技術のことです。ISDN回線は音声通話、データ通信、FAXなどを1本の回線で扱うことができるため、従来のアナログ回線に比べて高品質で安定した通信が可能です。

ISDNには、NTTが提供する「INS」があります。INSとは「Information Network System」の略称であり、NTTが登録商標しているサービスです。

しかし、技術の進化に伴い、より高速で効率的な通信手段が登場し、ISDNおよびINSの需要は減少しています。その結果、NTTは2024年8月31日をもってINSの新規販売を終了し、2028年12月31日をもってサービス自体も終了する予定です。

2. ISDN回線が終了する理由

ISDNの技術を利用したNTTのサービスであるINSは2028年をもってのサービス終了が決まっています。これには以下の理由があります。

  • 機能を維持する施設の老朽化
  • 光回線の普及
  • スマートフォンの台頭と固定電話設置数の減少

(1)機能を維持する施設の老朽化

ISDN回線のサービスは1988年に開始され、現在ではISDN回線の機能を維持するための施設や設備が老朽化しています。設備の老朽化に伴い、維持管理のコストが増加し、トラブルも頻発するようになってきました。さらに、ISDN回線の契約数が減少しているため、これ以上の保守・維持にかかるコストを正当化することが難しくなっています。

通信事業者は、古いISDN回線を維持するよりも、現在の主流である光回線への移行を推進しています。ISDN回線の終了は、技術の進化と利用者のニーズの変化に対応するための必然的な流れといえます。

(2)光回線の普及

光回線の普及により、ISDN回線の契約者数が大幅に減少しています。光回線は、ISDNに比べてはるかに高速なデータ通信が可能であり、料金も割安となっています。このため、多くのユーザーがISDNから光回線へ移行しました。

高速で安定したインターネット接続が一般的になるにつれ、ISDNの相対的な遅さが目立つようになりました。動画ストリーミングやオンラインゲームなど、大容量のデータ転送を必要とするサービスの普及も、より高速な光回線への需要を後押ししました。

(3)スマートフォンの台頭と固定電話設置数の減少

一般家庭におけるスマートフォンの普及と、固定電話設置数の減少もISDN利用者減少の一因です。スマートフォンの普及により、家庭内の通信手段がモバイルにシフトしているため、固定電話やISDN回線の必要性が低下しています。

モバイル通信技術の発展により、スマートフォンでも高速なインターネット接続が可能になりました。これにより、固定回線に依存せずに様々な通信サービスを利用できるようになり、特に若い世代を中心に固定電話離れが進んでいます。

3. ISDN回線のサービス終了による影響

ISDN回線のサービス終了により、一般家庭には基本的に大きな影響はありませんが、法人にとっては務上の対応が必要となる場合があります。ISDN回線は以下に影響する可能性があります。

  • 固定電話は継続して利用可能
  • POSシステムなどの一部サービスは対応要

(1)固定電話は継続して利用可能

パソコンや専用端末による通信やFAXは2028年をもって終了しますが、固定電話の利用は通信事業者によって自動的にIP網に切り替わるため、基本的に継続可能です。これにより、ユーザーは特別な手続きを行うことなく、引き続き電話サービスを利用できます。

ただし、IP網への切り替えに際して、一部の古い機器やサービスが対応していない場合があるので、通信事業者の指示に従い必要な確認を行いましょう。

参照:NTT東日本「INSネットをご利用の事業者さまへ」

(2)POSシステムなどの一部サービスは要対応

固定電話の利用は引き続き可能ですが、POSシステムなどの一部サービスは対応が必要であるとNTTが発表しています。そのため、NTTのアナウンスに従い、早急に対応を検討することが重要です。

多くのPOSシステムやEDIは既にインターネット回線を利用している場合もありますが、ISDN回線を使用している場合も依然として存在します。このため、現状のシステム構成を確認し、必要に応じて光回線や専用線への切り替え、または新しい通信プロトコルへの移行などが必要です。

参照:NTT東日本「INSネットをご利用の事業者さまへ」

4. ISDN回線の代替サービスについて

ISDN回線をビジネスで利用している場合の代替サービスは以下になります。ISDN回線の終了によって固定電話は引き続き利用可能なので、ここではネットサービスの代替案を紹介します。

  • 光回線
  • インターネットEDI
  • モバイルPOS

(1)光回線

ISDN回線の代替として最も一般的なサービスは、現在主流となっている光回線です。光回線は高速かつ安定した通信を提供し、大容量のデータを迅速に送受信できます。特に小規模オフィスにとって、光回線はコストパフォーマンスに優れたサービスとなります。

ただし、POSシステムやEDI(電子データ交換)などをISDN回線で運用している場合、既存のシステムが新しい通信プロトコルやインフラに対応しない場合があります。そのため、単純に光回線に切り替えるだけではなく、システム全体の再構築や運用方法の見直しが必要になるため、専門家にアドバイスしてもらうことをおすすめします。

(2)インターネットEDI

ISDN回線を利用してEDI(電子データ交換)を業務で使用していた場合の代替手段としては、インターネットEDIがおすすめです。インターネットEDIは、従来のISDNベースのEDIに比べて、より柔軟で広範な通信プロトコルに対応しています。そのため、異なるシステム間でのデータ交換が容易になり、業務効率の向上が期待できます。

インターネットEDIの導入により、通信速度の向上やコスト削減も実現可能です。また、インターネットEDIに関してアウトソーシングサービスを提供している企業もあるため、自社で構築する手間も省くことができます。

(3)モバイルPOS

ISDN回線を利用してPOSシステムを業務で使用していた場合、モバイルPOSへの切り替えが有効です。モバイルPOSは、従来の固定回線を必要とせず、携帯電話ネットワークを利用してデータ通信を行うため、導入や運用コストを抑えることができます。

特にイベントや屋外販売など、固定回線が利用できない環境でも活用できるため、ビジネスの柔軟性を高めることができます。さらに、最新のモバイルPOSは多機能で、売上管理や在庫管理、顧客データの分析など、多岐にわたる機能を提供しており、業務効率化や業務の改善にも役立てることができます。

5. ISDN回線からの切り替えで注意すること

ISDN回線を別の回線へ切り替える際に注意すべき点は、日々の業務に支障が出ないように計画的に行うことです。まず、移行のステップやスケジュールをしっかりと立てる必要があります。その際は、現状の回線利用状況を把握し、どのサービスやシステムがISDN回線に依存しているかを確認しましょう。

次に、代替回線や新しいシステムの選定を行い、それに合わせた機器やソフトウェアの準備を進めます。移行期間中の業務に支障が出ないように、必要に応じて仮設の通信手段を用意することも考慮しましょう。

また、社内だけでなく社外との通信にも影響が出る場合があります。特に、取引先や顧客とのEDIやPOSシステムを利用したデータ交換がISDN回線に依存している場合、これらの関係者との事前の意思疎通が不可欠です。移行のスケジュールや新しい通信手段について、事前に周知し、取引先と連携してスムーズな切り替えを実現するための協力を得ることが必要となります。

ISDN回線の対策を取っていない場合はソフトフロントジャパンへ

この記事では、ISDN回線のサービス終了に関する概要、終了理由、および代替サービスについて詳しく解説しました。ISDN回線のサービス終了は、企業にとって対処が必要な問題ですが、すでに多くの企業が必要な対策を取ったと思います。

万が一対策を取っていない場合は、ぜひソフトフロントジャパンにご相談ください。ISDN回線からの移行に関する豊富な経験と知識を持つプロフェッショナルが、最適な解決策を提案し、円滑な移行をサポートいたします。

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