【業界別事例あり】CPaaSとは?実現できること・メリットを紹介

「CPaaSは一般的なクラウドサービスと何が違うの?」
「CPaaSを導入するメリットって何?」

業界や業種に関係なく社内外のコミュニケーションは欠かせません。CPaaSを利用すれば、コストを抑えてチーム内や顧客とコミュニケーションチャネルを増やすことが可能です。

複数のチャネルを用意できれば、トラブル時の効率的な対処や顧客の満足度を上げることにつながるでしょう。この記事では、CPaaSの意味や導入するメリットや他サービスとの違いから実際の活用事例などについて解説します。

1.CPaaSとは

CPaaS(シーパース)とは(Communications Platform as a Service)の略称で、SMS・音声通話・ビデオ会議・IVR(音声応答システム)などの通信システムをAPIで接続するクラウドサービスです。

従来、CPaaSを利用せず異なるコミュニケーションツールを連携する場合、専用の機器やソフトウェアを導入や、専門的な知識と時間が必要でした。しかし、CPaaSはクラウドサービスとなるので、導入コストを抑えることができます。また、各チャネルを自社で開発する必要がなくなることから、容易にサービスへの導入が可能となります。

(1)APIについて

CPaaSの基盤となるAPI(Application Programming Interface)とは、異なるアプリケーション同士を接続し、その機能を利用可能にするインターフェースです。APIを活用することで、ユーザーは各種アプリケーションをシームレスに連携させることができ、意識することなく統合された機能を利用できます。

アプリケーションを連携するには、自社で開発する必要があり、連携する機能が増えればコストが増加します。しかし、CPaaSなら複数のチャネルをAPIに接続することで、手軽にチャネルを増やせます。

(2)一般的なクラウドサービスとの違いについて

一般的なクラウドサービスはパッケージ化されていることが多く、メール連携専用やSMS連携専用のクラウドサービスなど、単一チャネルで提供されています。そのため、複数のチャネルを利用する場合には、それぞれのサービスを自社のシステムと連携させる必要があります。

一方、CPaaSは複数のチャネルを提供しており、自社に必要なチャネルだけを選んで連携させることができます。また、必要に応じてチャネルを追加したり、サービスの拡張に合わせて新しいチャネルを導入したりと、柔軟に対応できる点が大きなメリットです。

(3)CPaaSとUCaaSの違い

CPaaSと似た技術として、UCaaS(ユーキャス)があります。UCaaSとは「Unified Communications as a Service」の略称で、ユニファイドコミュニケーションという技術をベースに様々なツールを1つのプラットフォームで提供するサービスです。

どちらも複数のツールを統合して提供されるサービスですが、CPaaSはAPIを利用して機能を提供するため、拡張性が高い一方で、UCaaSはプラットフォームとして各機能が1つのサービスに組み込まれています。そのため、拡張性が低くなりますが、導入に自社の開発が不要になっているので、必要に応じて使い分けることが重要です。

2.CPaaSを導入するメリット

CPaaSを導入することで、以下のようなメリットを得られます。

  • 様々なコミュニケーションチャネルに対応可能
  • システム構築にかかる工数を削減可能
  • コストが抑えられる
  • 柔軟なカスタマイズが可能
  • 顧客満足度の向上につながる

順番に解説していきます。

(1)様々なコミュニケーションチャネルに対応可能

CPaaSを導入する最大のメリットの一つは、様々なコミュニケーションチャネルに対応可能であることです。音声通話、ビデオ通話、SMS、チャット、ソーシャルメディアメッセージングなど、多様なチャネルが存在しますが、CPaaSを利用すれば、これらすべてのチャネルを一つのプラットフォーム上で統合し、管理することが可能です。

例えば、重要度や緊急性が高い案件の場合はSMSや電話など複数のチャネルで連絡を取り、定期連絡などのお知らせはメールのみで通達したりと分けることもできます。

(2)システム構築にかかる工数を削減可能

CPaaSは、複雑な通信インフラを一から構築や開発をする必要がないので、通常のシステム開発と比べてシステム構築にかかる工数を削減できます。従来、音声通話やビデオ通話機能をシステムに組み込むには、専門的な知識と時間が必要でした。しかし、CPaaSを利用することで、これらの機能はAPIを通じて簡単に統合できるため、開発の効率が大幅に向上します。

また、CPaaSはクラウドベースで提供されるため、物理的なハードウェアやインフラの設定も不要です。これにより、導入までの時間を大幅に短縮でき、リソースを他の重要な業務に集中することが可能になります。

(3)コストが抑えられる

CPaaSの導入により、通信機能の構築と運用にかかるコストを抑えることができます。従来の通信システムは、通信サーバーや専用機器の導入、高額なシステム開発が必要となるため、初期投資と維持費が大きな負担となっていました。しかし、CPaaSはクラウドベースであるため、初期費用が低く、必要な分だけを利用する従量課金制でコストを抑えられます。

これにより、小規模な企業でも手軽に導入でき、スケールアップやスケールダウンも柔軟に行えます。結果として、コストの予測がしやすくなり、経済的な運用が可能となります。

(4)柔軟なカスタマイズが可能

CPaaSはAPIを利用して複数の機能を連携することから、既存のシステムに組み込みやすく柔軟なカスタマイズが可能です。また、導入後に機能を追加・削除する場合においても簡単にカスタマイズが行えます。

柔軟なカスタマイズが簡単に行えれば、顧客とのコミュニケーションチャネルを増やして得られた声を、迅速にサービスに反映することができるようになります。

(5)顧客満足度の向上につながる

CPaaSを導入してコミュニケーションチャネルを増やせば、顧客の満足度向上につながります。顧客とコミュニケーションを取る手段が増えれば、顧客の声を拾いやすくなるからです。

また、一次対応にチャットボットやIVR、SMSを活用することで自己解決できる問い合わせをWebサイトのFAQなどへ誘導することで、電話がつながらないという不満を減らすことができます。

3.CPaaSの導入に向いていない企業

CPaaSの導入は、自社でシステム開発ができない企業には向いていません。CPaaSは、通常のシステム開発と比べて工数やコストを抑えて導入できるのであって、システム開発を外注する企業ではカスタマイズする度にコストが発生します。

このような場合、柔軟なカスタマイズができるメリットも薄れてしまいます。したがって、自社でシステム開発ができる程度の開発リソースやノウハウがない企業には、CPaaSの導入は適していないと言えます。

4.CPaaSの導入で実現できること

CPaaSの導入で実現できることとしては以下の例があります。

  • コンタクトセンターの構築
  • システム障害の通知
  • 予約などの順番待ちの呼び出し
  • 自動予約のシステム

それぞれ紹介していきます。

(1)コンタクトセンターの構築

CPaaSを利用すれば、スピーディかつ効率的にコールセンターの構築が可能となります。また、コンタクトセンターの運営時に、顧客のニーズに合わせたコミュニケーションチャネルを増やそうとした場合にもCPaaSはシステム構築に必要なコストや時間を抑えられます。自社に必要な機能だけを選んで実装することで、効率的にコンタクトセンターを構築できます。

(2)システム障害の通知

CPaaSは複数チャネルに対応していることから、システム障害の通知に向いています。システム障害の解決までの時間を短縮するには、障害の検知から適切なチャネルで担当者へスムーズに通知させることが重要です。

CPaaSでは監視システムと複数チャネルを連携させ、事前に設定した担当者へ通知が行くように設定できます。自動で担当者への通知が行われれば、それだけ早急に対処ができ、被害の拡大を抑えることにつながります。

(3)予約などの順番待ちの呼び出し

CPaaSは、ジムや美容室などの順番待ちの呼び出しにも使用できます。予約システムや受付システムと連携することで、受付時にメールや電話番号などの複数の連絡先を登録してもらえば、通知サービスとして活用が可能です。

運営側の人件費などのコスト削減を図りつつ、顧客の満足度を上げることができます。

(4)自動予約のシステム

社内の会議室予約にCPaaSを利用すると、自動予約のシステムを構築できます。例えば、IVRによる電話予約・メールやサイト上からのWeb予約などを同時に利用することも可能です。

さらに、システムでの一括管理が可能なため、複数の予約方法を利用しながら、ミスやトラブルも減らせます。

5.CPaaSの業界別活用事例

CPaaSの製品を導入した活用事例としては以下の業界があります。

  • 医療業界
  • 金融業界
  • 物流業界
  • 小売業界

それぞれSinch社の顧客事例を基に紹介していきます。

(1)医療業界

メキシコの非営利医療機関Salud Dignaは、AIを搭載したWhatsAppの仮想アシスタントを導入し、患者サポートを自動化しました。これにより、患者の問い合わせや高品質な医療の提供が可能になり、従業員の労働条件も向上しました。

この取り組みの背景には、COVID-19の壊滅的な被害に見舞われ、Salud Dignaは過去最高の検査数の問い合わせに圧倒されていたことがありました。この状況を解決するため、数百万人もの患者が検査と結果に関する重要な情報に迅速かつ安全にアクセスできる方法が必要でした。

そこで、Salud DignaはSinchと提携し、WhatsAppの仮想アシスタントを導入しました。このシステムにより、運営効率を改善しながら、患者の満足度と信頼を維持できるようになりました。

このように、CPaaSは複数のチャネルを利用できるため、医療従事者と患者のコミュニケーションを円滑にし、予約、検査結果へのアクセス、クリニックの場所や営業時間の検索など、患者に優れたサービスを提供するのに役立ちます。

参考:Sinch「Delivering a seamless patient experience with WhatsApp Business API」

(2)金融業界

オランダの金融機関Triodos Bankは、Sinch SMSを利用して、ログイン時の本人確認を迅速かつ簡単に行うことができるようになりました。

Triodos Bankは、詐欺が増加する中で顧客アカウントのセキュリティに課題を抱えており、モバイルアプリやオンラインポータルにログインするユーザーを安全に認証する方法を探していました。

業界トップの配信率を誇るSinch SMSは、モバイルデバイス間での動作に優れており、Sinch SMSの導入によって、アカウントのセキュリティが向上し、サインアッププロセスが簡素化され、コンバージョン率も向上しました。

金融業界において顧客の信用は欠かせませんが、Sinch SMSの導入によって操作が簡素化されつつも、安全かつ迅速な取引が可能になりました。

参考:Sinch「Verified customer accounts at scale」

(3)物流業界

南米最大のオンライン食品配達プラットフォームの1つであるiFoodは、Sinchの協力を得てWebサイトとモバイルアプリを通じて顧客とお気に入りのレストランを結び付けられるようになりました。これにより、問い合わせの45%を処理及び自動化し、配送コストを70%削減することができました。

当時のiFoodは、ドライバー関連の問題に対処するためにスタッフを配置したサポートセンターを使用していましたが、非効率的で拡張も難しい状態でした。しかし、メッセージングアプリであるWhatsAppや同社のWebサイトに会話型AIチャットボットを実装することで、重要なプロセスの自動化に成功しました。

参考:Sinch「Demystifying CPaaS: 5 use cases you need to know」

(4)小売業界

北欧のオンライン美容小売業界のParfym.seは、リッチSMSを導入することでブラックフライデーキャンペーンのエンゲージメントはほぼ100%に達し、ROIも向上しました。

以前のParfym.seは顧客とコミュニケーションに従来のSMSを使用していましたが、Sinchからの提案により、使用していた機能は一部だったことに気付きました。

そして双方向のコミュニケーションの重要性を認識し、よりカスタマイズ性の高いリッチSMSを導入しました。さらにSinchのキャンペーンも利用することでより効率的にファンを増やせるようになりました。

Parfym.seは、1年で最も忙しい時期であるブラックフライデーで、売上や顧客満足度の向上、ブランドに対するファンを増やすことに成功しました。

参考:Sinch「Driving Black Friday and CX success through personalized SMS campaigns」

CPaaSの導入はソフトフロントジャパンにご相談ください

この記事では、CPaaSの概要や導入のメリットや他サービスとの違いについて解説しました。

CPaaSを導入すれば、複数のチャネルを利用できるので社内外に関係なくコミュニケーションが必要な様々な場面で役立ちます。特にコールセンターの立ち上げなど従来のシステム構築にかかるコストもCPaaSを利用すれば大幅に減らせるでしょう。

ソフトフロントジャパンでは、自然会話AIクラウドAPIにより既存の業務フローに組み入れた自動化システムなどを提供しています。他にもパソコンなどからテキストデータを送信するだけで、テキスト内容が自動的に音声に変換され、その音声が指定した電話番号へ自動的に発信されるサービスなども提供しているので多くの場面でお手伝いが可能です。

CPaaSについての不明点やお悩みについては、どんなことでもソフトフロントジャパンへご相談ください。

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